4 テキスト構造モジュール
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- « 3 コアモジュール
- » 5 標準化されていない文字と字形の表現
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この章では,TEI文書の素の上位構造を解説する. 完全なTEI文書には,要素teiHeaderに記録されるメタデータと, 要素textに記録される文書本体が含まれている. この2つの要素が,最上位要素であるTEIの中に記録されることになる. 要素teiHeaderは,ヘダーモジュールで定義さ れている. ヘダーモジュールの詳細は,2 TEIヘダーにある. 要素textの内容は,本章で詳しく解説される.
この要素TEIの派生形として,要素teiCorpusがある. この要素は,言語資料(コーパス)や複数の符号化テキストをまとめ る時に使われる. 要素teiCorpusは,複数のTEIをとりま とめることができる. 各要素TEIでは,それぞれのteiHeaderやtextを記録 することが可能で,さらに,これらをまとめた全 体向けのteiHeaderも記録することができる. これにより,符号化する人は,個別の要素TEIとは別に,コレクション全体向けの teiHeaderを記録することができ るようになる. これらの詳細や,コーパスの作り方については, 15 Language Corporaで解説されている.
- TEI TEIに準拠する文書.TEIヘダーとテキストを内容として含む. teiCorpusの要素になる.
- teiCorpus TEI準拠のコーパス全体を示す.ヘダーが1つと,ひとつ以上の要素TEIから 成る.各要素TEIには,テキストヘダーと要素textが1つある.
- teiHeader 全てのTEI準拠テキストが伴う,電子版のタイトルページを構成する,記述的・宣言的情報を示す.
- text とつのテキストを示す.単体でも複合体でもよい.例えば,詩,舞台芸術, 随筆,小説,辞書,コーパスなど.
TEI文書は「単一的」または「複合的」である. 「単一的」とは,1つの組織体を形作るものであり,「複合的」と は,異なる意味合いを持った個々の要素を束ねたものである. この区別は,必ずしも明確であるわけではない. 例えば,作品集は,ある状況下では,単一のものと見なされ,別の 状況下では,異なる複数の作品をまとめたものを見なされる. この様などちらとも取れるような場合,それぞれに利点・欠点があ る状況下で,符号化する人は,これらを選択しなくてはならない.
<teiHeader>
<!-- .... -->
</teiHeader>
<text>
<front>
<!-- front matter of copy text, if any, goes here -->
</front>
<body>
<!-- body of copy text goes here -->
</body>
<back>
<!-- back matter of copy text, if any, goes here -->
</back>
</text>
</TEI>
<teiHeader>
<!-- .... -->
</teiHeader>
<text>
<front>
<!-- front matter for composite text -->
</front>
<group>
<text>
<front>
<!-- front matter of first unitary text, if any -->
</front>
<body>
<!-- body of first unitary text -->
</body>
<back>
<!-- back matter of first unitary text, if any -->
</back>
</text>
<text>
<body>
<!-- body of second unitary text -->
</body>
</text>
</group>
<back>
<!-- back matter for composite text, if any -->
</back>
</text>
</TEI>
本章では,以下の要素が解説されている. 要素front とbackは, それぞれ,4.5 前付けと4.7 後付で解説される. 複合テキストで使われる要素group とfloatingTextは, 4.3 複合テキスト と自在テキストで解説される. この他の要素,例えば,段落,リスト,句などを記録するものは,3 コアモジュールで解説されている. そこで解説される要素は,どのようなテキスト種でも,どのような場所でも 使うことができるものである.
- » 4.2 どの区分中でも使える要素
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4.1 本文の下位区分TEI: 本文の下位区分¶
あるテキストでは,本文が一連の部分から形成されていることがあ る. このような構成単位を,ここでは「構成要素(components」「構成 要素レベル要素(component-level elements)」と呼ぶことにする (詳細は,1.3 TEIのクラスを参照). 例えば,散文中にある段落やリストがそれに該当する. また,脚本では,発話やト書きがこれに相当する. また,辞書では,辞書項目がこれに相当する. また,この種の要素は,まとめられ,章や節などの,テキスト構造 上の下位区分となることもできる. この様なテキスト構造上の下位区分は,当該テキストの長さや,そ のジャンル,または作者や編者,出版者の意向により,その名称は様々である. 例えば,神話や聖書において,「編・書(book)」は大きな下位区分 を示すものであるが,報告書においては「パート(part)」や「節(section)」 が大きな下位区分となり,また小説においては「章(chapter)」が そのような下位区分となる. また,一続きの話となる散文ではないテキストでさえ,これ らと同じように,下位区分化されることがある. 例えば,脚本は「幕(act)」や「場(scene)」に下位区分される. また,リファレンス本は「節(section)」に下位区分される. また,新聞は「号(issue)」「欄(section)」などに下位区分される.
下位区分にはこの様に沢山の名称があることから,当該とラインで は,これらを同じような名前の要素で管理し,属性typeにより,それぞれの構造以外の特性を記 録することを提案する. この時の書き方として,2つのスタイル「付番区分」と「非付番 区分」を提案している. 付番区分とは,div1, div2のように,番号がついた要素を使 うものである. この時,それぞれの番号は,当該文書構造中の階層の深さを示すこ とになる. 一番大きな下位区分には「div1」,次に大きな下位区分には「div2」 が,その次に大きな下位区分には「div3」が付与され,以下,同様 に続けられる. 非付番区分とは,divのよう に,単一の要素名を入れ子のように使い,階層を作るものである. これら2つのスタイルは,単一のfrontやbodyやbackと同時に使ってはいけない.
- » 4.1.2 付番区分
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4.1.1 非付番区分TEI: 非付番区分¶
- div 前付,本文,後付中のテキスト部分を示す.
- att.typed
要素を分類するための属性を示す.
type 当該要素の分類を示す. subtype 必要であれば,当該要素の下位分類を示す.
<div type="part" n="1">
<div type="chapter" n="1">
<!-- text of part 1, chapter 1 -->
</div>
<div type="chapter" n="2">
<!-- text of part 1, chapter 2 -->
</div>
</div>
<div type="part" n="2">
<div n="1" type="chapter">
<!-- text of part 2, chapter 1 -->
</div>
<div n="2" type="chapter">
<!-- text of part 2, chapter 2 -->
</div>
</div>
</body>
- « 4.1.1 非付番区分
- » 4.1.3 付番と非付番の選択
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4.1.2 付番区分TEI: 付番区分¶
- div1 前付,本文,後付中の第1位のテキスト部分を示す.
- div2 前付,本文,後付中の第2位のテキスト部分を示す.
- div3 前付,本文,後付中の第3位のテキスト部分を示す.
- div4 前付,本文,後付中の第4位のテキスト部分を示す.
- div5 前付,本文,後付中の第5位のテキスト部分を示す.
- div6 前付,本文,後付中の第6位のテキスト部分を示す.
- div7 前付,本文,後付中の一番小さいレベルのテキスト部分を示す.
-
att.typed
要素を分類するための属性を示す.
type 当該要素の分類を示す. subtype 必要であれば,当該要素の下位分類を示す.
一番大きな付番区分はdiv1で,一番小さい付番区分は div7である. 付番区分が使われる際には,その下位要素には,自らの番号(例え ば,div3 の場合)よりも1つ小さい番号の付番区分(div4)のみを使うことができる.
<div1 type="part" n="1">
<div2 type="chapter" n="1">
<!-- text of part 1, chapter 1 -->
</div2>
<div2 type="chapter" n="2">
<!-- text of part 1, chapter 2 -->
</div2>
</div1>
<div1 type="part" n="2">
<div2 n="1" type="chapter">
<!-- text of part 2, chapter 1 -->
</div2>
<div2 n="2" type="chapter">
<!-- text of part 2, chapter 2 -->
</div2>
</div1>
</body>
- « 4.1.2 付番区分
- » 4.1.4 部分区分と複合区分
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4.1.3 付番と非付番の選択TEI: 付番と非付番の選択¶
要素front, body, backでは,要素divまたはdiv1のいずれかを,適切な入れ子の状 態で使うことができる. 非付番区分と付番区分とを混在して使うことはできない.
非付番区分と付番区分の選択は,記録する当該資料の複雑さの 底語に依存することになる. 非付番区分は,いくらでも深く入れ子化することができるが, 付番区分では,入れ子化の深さには制限がある. 入れ子化された階層の異なる区分に,異なる処理を施したい場 合(例えば,節ではなく章を単位に改ページする場合),付番区 分を使うと,必要とする区分に必要な処理を施すことが簡単に できる. 但し,非付番区分divを使っても,属性typeに情報を記録することで,同様のこ とは実現可能である. ソフトウェアによっては,付番区分の方が容易に処理できるか もしれない. その方が,付番区分を使うことで,文書全体の構造を事前に知っ ておく必要がないからである. 但し,このようなソフトウェアは,TEIスキームにある他の機 能を上手く扱えない可能性がある. 一方で,作品をまとめたコレクションの中で,同じ付番区分が 同じ種類のテキスト素性を記録していると保証することは難し いか,または不可能である. 例えば,ある作品の章はレベル1で記録され,別の作品の章で はレベル3で記録されることもあるだろう.
これら2つのスタイルとも,属性n と属性xml:idを使い,区分内容の 参照文字列やラベルを記録することができる (1.3.1.1 グローバル属性 を参照). 参照において重要な(参照システ ムについての詳細は3.10 参照システムを 参照のこと)各節では,このようなラベルは記録されるべきである.
<head>Book I.</head>
<div2 type="chapter" n="1" xml:id="JA0101">
<head>Of writing lives in general, and particularly of Pamela, with a word
by the bye of Colley Cibber and others.</head>
<p>It is a trite but true observation, that examples work more forcibly on
the mind than precepts: ... </p>
<!-- remainder of chapter 1 here -->
</div2>
<div2 type="chapter" n="2" xml:id="JA0102">
<head>Of Mr. Joseph Andrews, his birth, parentage, education, and great
endowments; with a word or two concerning ancestors.</head>
<p>Mr. Joseph Andrews, the hero of our ensuing history, was esteemed to
be the only son of Gaffar and Gammar Andrews, and brother to the
illustrious Pamela, whose virtue is at present so famous ... </p>
<!-- remainder of chapter 2 here -->
</div2>
<!-- remaining chapters of Book 1 here -->
<trailer>The end of the first Book</trailer>
</div1>
<div1 type="book" n="II" xml:id="JA0200">
<head>Book II</head>
<div2 type="chapter" n="1" xml:id="JA0201">
<head>Of divisions in authors</head>
<p>There are certain mysteries or secrets in all trades, from the highest
to the lowest, from that of <term>prime-ministering</term>, to this of
<term>authoring</term>, which are seldom discovered unless to members of
the same calling ... </p>
<p>I will dismiss this chapter with the following observation: that it
becomes an author generally to divide a book, as it does a butcher to
joint his meat, for such assistance is of great help to both the reader
and the carver. And now having indulged myself a little I will endeavour
to indulge the curiosity of my reader, who is no doubt impatient to know
what he will find in the subsequent chapters of this book.</p>
</div2>
<div2 type="chapter" n="2" xml:id="JA0202">
<head>A surprising instance of Mr. Adams's short memory, with the
unfortunate consequences which it brought on Joseph.
</head>
<p>Mr. Adams and Joseph were now ready to depart different ways ... </p>
</div2>
</div1>
<div type="entry" n="1">
<div type="morning" n="1.1">
<p>....</p>
</div>
<div type="afternoon" n="1.2">
<p>....</p>
</div>
</div>
<div type="entry" n="2">
<div type="morning" n="2.1">
<p>....</p>
</div>
<div type="afternoon" n="2.2">
<p>....</p>
</div>
</div>
<!-- ...-->
</body>
<div1 type="entry" n="1">
<div2 type="morning" n="1.1">
<p>....</p>
</div2>
<div2 type="afternoon" n="1.2">
<p>....</p>
</div2>
</div1>
<div1 type="entry" n="2">
<div2 type="morning" n="2.1">
<p>....</p>
</div2>
<div2 type="afternoon" n="2.2">
<p>....</p>
</div2>
</div1>
<!-- ...-->
</body>
<!-- ...-->
</body>
<!-- ... -->
</body>
このように,要素を追加・修正する方法については, 23.2 Personalization and Customizationを参照の こと.
- « 4.1.3 付番と非付番の選択
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4.1.4 部分区分と複合区分TEI: 部分区分と複合区分¶
多くの場合,要素divやdiv1で記 録されるテキスト部分は,元の資料の内容と同じであり,一致す るものである. しかし,目的によっては,とりわけ当該テキストの規模が普通でな い長さや短さである時には,符号化する人は,便宜上,元資料の一 部のみをテキスト部分として記録したり,短いテキストを任意にま とめて記録したりすることもある. また,ある種のテキストでは,以下で例示するように,下位区分をまと めて上位区分を作る際に,その下位区分をまとめる順番を決めるこ とが困難であったり,不可能なこともある.
- att.divLike
区分(div, division)に相当する全要素に共通の属性を示す.
org 当該区分の内容がどのように構成されているかを示す. sample 当該区分が,元資料のものを含むかどうか,そうであればその場所はど こかを示す. part 当該区分が,他の構造要素の部分であるかどうかを示す.例えば,複数 の連に分けられる発話など.
n="xx"
sample="initial"
part="Y"
type="chapter">
<p> ... </p>
</div>
<p> ... </p>
<gap extent="2" reason="sampling"/>
<p> ... </p>
</div>
<head>News in brief</head>
<div2 type="story">
<head>Police deny <soCalled>losing</soCalled> bomb</head>
<p>Scotland Yard yesterday denied claims in the Sunday
Express that anti-terrorist officers trailing an IRA van
loaded with explosives in north London had lost track of
it 10 days ago.</p>
</div2>
<div2 type="story">
<head>Hotel blaze</head>
<p>Nearly 200 guests were evacuated before dawn
yesterday after fire broke out at the Scandic
Crown hotel in the Royal Mile, Edinburgh.</p>
</div2>
<div2 type="story">
<head>Test match split</head>
<p>Test Match Special next summer will be split
between Radio 5 and Radio 3, after protests this
year that it disrupted Radio 3's music schedule.</p>
</div2>
</div1>
要素div1に ある属性orgは,子要素div2の内容は,独 立してあるもので,それをひとつの区分としてまとめてあることを示して いる. 各話は,内容に影響なく自由な順序で読むことが可能である. 実際,ある場合には,読まれる順番を決めかねるような形で印刷され ているものもある. 各話は,他の話に影響を与えることなく,追加・削除されることがで きる.
ここで紹介した,複合テキストを記録する方法は,4.3.1 複合テキストで紹介する一般的で強力な手法と比べる と,ある程度の制約がある. しかし,ある場面では,ここで紹介した手法を使う方がよいだろう. 例えば,個々のテキストがとても短い場合などはそうである.
- « 4.1 本文の下位区分
- » 4.3 複合テキストと自在テキスト
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4.2 どの区分中でも使える要素TEI: どの区分中でも使える要素¶
テキスト区分は,時に,短い見出しや,説明調のタイトル,署 名欄,題辞,短い引用,手紙冒頭にある挨拶文言などから,始まる ことがある. また,テキスト区分は,簡単な末尾文や,署名欄,追記などで終わ ることがある. この様なテキスト部分(例えば,署名欄)の多くは,テキスト区分の 始め,または終わりの位置に現れることがある.
- model.divTop テキスト部分の始まりに現れる要素をまとめる.
- model.divTopPart テキスト部分の始まりにのみ現れる要素をまとめる.
- model.divBottom テキストの終わりに現れる要素をまとめる.
- model.divBottomPart テキスト部分の終わりにのみ出現できる要素をまとめる.
- model.divWrapper テキスト部分の上部また下部に現れる要素をまとめる.
- head 各種の見出しを示す.例えば,節のタイトル,リストや用語 集,手書き資料の解説などにある見出し.
- salute (著者以外の)序文や献呈書簡などのテキスト部分に附属する挨 拶文言または 挨拶,または書簡や(著者による)序文の大和 にある挨拶文言を示す.
- opener テキスト部分の始まりに,日付欄,署名欄,挨拶文言など,前 置き的な部分としてあるものをまとめる.典型例は,手紙の 場合である.
- closer 挨拶文言,日付欄など,ある区分の終わり,特に手紙の終わりにある一連の文言をまとめる.
- signed (著者以外の)序文や献呈書簡などのテキスト部分にある,結びの挨拶などを 示す.
- trailer テキスト部分の最後にある,結びのタイトルや脚注を示す.
- postscript 追伸を示す.例えば,手紙の場合など.
- » 4.2.2 開始部と終末部
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4.2.1 見出しと末尾TEI: 見出しと末尾¶
<head>Etymology</head>
<head>(Supplied by a late consumptive usher to a
grammar school)</head>
<p>The pale Usher — threadbare in coat, heart,
body and brain; I see him now. He was ever
dusting his old lexicons and grammars, ...</p>
</div1>
他のスキームと違い,TEIスキームでは,異なる階層レベルにある テキスト区分にある見出しに,異なる識別子を付加することを必須 とはしていない. あらゆる種類の見出しは,要素headで記録することができる. 見出しの種類やレベルは,要素headの親要素が示すことになる. 例えば,要素div1やdiv2などや,非付番の要素divや,クラ スmodel.listLikeのメン バーがそのようなものとして使われる. しかし,要素divの場合は,符号化する人が,要素headが唯一 のメンバーであるクラスmodel.headLikeを拡張して,他 の要素を使えるようにすることも可能である.
ある種のテキスト(とりわけ新聞)では,見出しを分類しておく必要 がある. 例えば,一連のテキスト区分には,主見出しや小見出しなどがある. このような分類は,属性typeや subtypeを使い記録することができる. また,特定種の見出しで使う要素も用意されている(例えば, 要素bylineや,要素datelineや,要素saluteなど.これらの詳細は,4.2.2 開始部と終末部). 但し,その場合でも,属性typeまたはsubtypeに,当該見出しを類別できるよう記録 する必要がある. これらの属性は,要素headが属するクラスatt.typedで定義されている.
<head rend="underlined" type="sub">President pledges safeguards for 2,400 British
troops in Bosnia</head>
<head rend="scream" type="main">Major agrees to enforced no-fly zone</head>
<byline>By George Jones, Political Editor, in Washington</byline>
<p>Greater Western intervention in the conflict in
former Yugoslavia was pledged by President Bush ...</p>
</div>
古い作品では,見出し,すなわち冒頭語句は,現在の作品よりも長く 書かれている. 見出しと見なされるテキストが,本文の中で使われている時,符号化 する人は,それを新しいテキスト区分の始めの部分として扱うかどう かを決める必要がある. もしそのテキスト部分が,それより前の記述よりも,後の記述と関連 が深い場合,それを見出しと見なして,要素headまたは新 たな要素div で記録することができる. もしそのテキスト部分が,単純に挿入されているだけのもの,例え ば,新聞や雑誌で見られる本文からの抜粋見出しである場合には,要 素quoteや,要素qまたはcitを使う方がよい.
<head>In the name of Christ here begins the
first book of the ecclesiastical history of Georgius Florentinus,
known as Gregory, Bishop of Tours.</head>
<div>
<head>Chapter Headings</head>
<list>
<!-- list of chapter heads omitted -->
</list>
</div>
<div>
<head>In the name of Christ here begins Book I of the history.</head>
<p>Proposing as I do ...</p>
<p>From the Passion of our Lord until the death of Saint Martin four
hundred and twelve years passed.</p>
<trailer>Here ends the first Book, which covers five thousand, five
hundred and ninety-six years from the beginning of the world down
to the death of Saint Martin.</trailer>
</div>
</div>
- « 4.2.1 見出しと末尾
- » 4.2.3 内容項目,題辞,後書き
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4.2.2 開始部と終末部TEI: 開始部と終末部¶
<head>To Henry Hope.</head>
<p>It is not because this volume was conceived and partly
executed amid the glades and galleries of the Deepdene,
that I have inscribed it with your name. ... I shall find a
reflex to their efforts in your own generous spirit and
enlightened mind.
</p>
<closer>
<signed xml:lang="el">D.</signed>
<dateline>Grosvenor Gate, May-Day, 1844</dateline>
</closer>
</div>
- opener テキスト部分の始まりに,日付欄,署名欄,挨拶文言など,前置 き的な部分としてあるものをまとめる.典型例は,手紙の 場合である.
- closer 挨拶文言,日付欄など,ある区分の終わり,特に手紙の終わりに ある一連の文言をまとめる.
<head>Sixth Narrative</head>
<head>contributed by Sergeant Cuff</head>
<div type="fragment" n="6.1">
<opener>
<dateline>
<name type="place">Dorking, Surrey,</name>
<date>July 30th, 1849</date>
</dateline>
<salute>To <name>Franklin Blake, Esq.</name> Sir, —</salute>
</opener>
<p>I beg to apologize for the delay that has occurred in the
production of the Report, with which I engaged to furnish you.
I have waited to make it a complete Report ...</p>
<closer>
<salute>I have the honour to remain, dear sir, your
obedient servant </salute>
<signed>
<name>RICHARD CUFF</name> (late sergeant in the
Detective Force, Scotland Yard, London). </signed>
</closer>
</div>
</div>
<head>Letter XIV: Miss Clarissa Harlowe to Miss Howe</head>
<opener>
<dateline>Thursday evening, March 2.</dateline>
</opener>
<p>On Hannah's depositing my long letter ...</p>
<p>An interruption obliges me to conclude myself
in some hurry, as well as fright, what I must ever be,</p>
<closer>
<salute>Yours more than my own,</salute>
<signed>Clarissa Harlowe</signed>
</closer>
</div>
日付や人物名,場所を符号化することについての詳細は, 3.5.4 日付や時間と,r 13 名前,日付,人物,場所を参照のこと.
- « 4.2.2 開始部と終末部
- » 4.2.4 テキスト区分の内容
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4.2.3 内容項目,題辞,後書きTEI: Arguments, Epigraphs, and Postscripts¶
<argument>
<p>Kingston — Instructive remarks on early English history
— Instructive observations on carved oak and life in general
— Sad case of Stivvings, junior — Musings on antiquity
— I forget that I am steering — Interesting result
— Hampton Court Maze — Harris as a guide.</p>
</argument>
<p>It was a glorious morning, late spring or early summer, as you
care to take it ...</p>
</div>
<argument>
<list type="inline">
<item>Kingston</item>
<item>Instructive remarks on early English history</item>
<item>Instructive observations on carved oak and life in
general</item>
<item>Sad case of Stivvings, junior</item>
<item>Musings on antiquity</item>
<item>I forget that I am steering</item>
<item>Interesting result</item>
<item>Hampton Court Maze</item>
<item>Harris as a guide.</item>
</list>
</argument>
<p>It was a glorious morning, late spring or early summer, as you
care to take it ...</p>
</div>
<head>Chapter 19</head>
<epigraph>
<cit>
<quote>I pity the man who can travel
from Dan to Beersheba, and say <q>'Tis all
barren;</q> and so is all the world to him
who will not cultivate the fruits it offers.
</quote>
<bibl>Sterne: Sentimental Journey.</bibl>
</cit>
</epigraph>
<p>To say that Deronda was romantic would be to
misrepresent him: but under his calm and somewhat
self-repressed exterior ...</p>
</div>
題辞以外で使われる引用についての詳細は,3.3.3 引用 を参照のこと.
<opener>
<dateline>
<placeName>Newport</placeName>
<date when="1761-05-27">May ye 27th 1761</date>
</dateline>
<salute>Gentlemen</salute>
</opener>
<p>Capt Stoddard's Business
<lb/>calling him to Providence, have
<lb/>got him to look at Hopkins brigantine
<lb/>&amp; if can agree to Purchase her, shall
<lb/>be much oblig'd for your further
<lb/>assistance herein, &amp; will acquiesce with
<lb/>whatever you &amp; he shall Contract
<lb/>for — I Thank you for your
<lb/>
<unclear>Line</unclear> respecting the brigantine &amp; Beg
<lb/>leave to Recommend the Bearer
<lb/>to you for your advice &amp; Friendship
<lb/>in this matter</p>
<closer>
<salute>I am your most humble servant</salute>
<signed>Joseph Wanton Jr</signed>
</closer>
<postscript>
<label>P.S.</label>
<p>I have Mollases, Sugar,
<lb/>Coffee &amp; Rum, which
<lb/>will Exchange with you
<lb/>for Candles or Oyl</p>
</postscript>
</div>
- « 4.2.3 内容項目,題辞,後書き
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4.2.4 テキスト区分の内容TEI: テキスト区分の内容¶
全てのテキスト(付番・非付番)区分では, クラスmodel.divWrapperや model.divTopや model.divBottomの要素 の他,一連のマクロを取ることができる(1.3 TEIのクラスを参照). 実際に使うことができる要素は,導入するモジュールに寄っ て決まる. 但し,基盤モジュールで定義されている構成要素レベルの要素(例 えば,段落,リスト,発話,韻文行やそのグループ,など)は, 常に使うことができる. 例えば,舞台芸術モジュールを使う時には,( 7 Performance Textsで定義されている)舞台芸術向けのテキス トに特化した構成要素レベル,すなわち句レベルの項目を記録する ことができる. また,例えば,辞書モジュールを使うときには,( 9 Dictionariesで定義さ れている)辞書向けのテキストに特化した項目を記録することがで きる. また,発話モジュールを使うときには,発話,間,声,動作などを, 8.3 Elements Unique to Spoken Textsに定義されているよ うに,記録することができる.
当該テキストに,複数のモジュールを必要とする要素が,至る所に 含まれている場合,ひとつのモジュールに固執する必要はない.
- « 4.2 どの区分中でも使える要素
- » 4.4 仮想区分
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4.3 複合テキストと自在テキストTEI: 複合テキストと自在テキスト¶
- group ある単位として独立している個別テキストをまとめた複合テキストを示す. 例えば,ある著者の作品集やエッセイ集など.
- floatingText ひとつのテキストを示す.下位構造はあってもよい.当該部分はテキスト中 のどこにでも出現できる.自在テキスト.
- » 4.3.2 自在テキスト
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4.3.1 複合テキストTEI: 複合テキスト¶
要素groupを使い記録される複合テキストの 例としては,作品集やコレクションがある. 個々の個別テキストに付帯する前付けの他,それらを合わせたコ レクション全体に付帯する前付けなどは,この種の符号化に相応 しい対象である. このような構造は,他の状況でも,有用な場合がある.
<teiHeader>
<!-- header information for the whole collection -->
</teiHeader>
<text>
<front>
<docTitle>
<titlePart> The Adventures of Sherlock Holmes
</titlePart>
</docTitle>
<docImprint>First published in <title>The Strand</title>
between July 1891 and December 1892</docImprint>
<!-- any other front matter specific to this collection -->
</front>
<group>
<text>
<front>
<head rend="italic">Adventures of Sherlock
Holmes</head>
<docTitle>
<titlePart>Adventure I. —</titlePart>
<titlePart>A Scandal in Bohemia</titlePart>
</docTitle>
<byline>By A. Conan Doyle.</byline>
</front>
<body>
<p>To Sherlock Holmes she is always
<emph>the</emph> woman. ... </p>
<!-- remainder of A Scandal in Bohemia here -->
</body>
</text>
<text>
<front>
<head rend="italic">Adventures of Sherlock Holmes</head>
<docTitle>
<titlePart>Adventure II. —</titlePart>
<titlePart>The Red-Headed League</titlePart>
</docTitle>
<byline>By A. Conan Doyle.</byline>
</front>
<body>
<!-- text of The Red Headed League here -->
</body>
</text>
<text>
<front>
<head rend="italic">Adventures of Sherlock Holmes</head>
<docTitle>
<titlePart>Adventure XII. —</titlePart>
<titlePart>The Adventure of the Copper Beeches</titlePart>
</docTitle>
<byline>By A. Conan Doyle.</byline>
</front>
<body>
<p>
<q>To the man who loves art for its
own sake,</q> remarked Sherlock Holmes ...
<!-- remainder of The Copper Beeches here -->
... she is now the head of a private school
at Walsall, where I believe that she has
met with considerable success.</p>
</body>
</text>
<!-- end of The Copper Beeches -->
</group>
</text>
<!-- end of the Adventures of Sherlock Holmes -->
</TEI>
- Steps to the Temple (1648年初版の詩のコレクション)
- Carmen deo Nostro (1652年出版の,2つ目のコレクション)
- The Delights of the Muses (1648年出版の,3つ目のコレクション)
- Posthumous Poems, I (1つの草稿からの,複数の断片をまとめたもの)
- Posthumous Poems, II (異なる草稿からの,複数の断片をまとめたもの)
ここにある3つのコレクションは全て,クラショーの生前に出版さ れたもので,それぞれが独立したものとして価値あるものであるこ とから,そのように記録されている. 作者が死後にまとめられた2つのコレクションを,Muses Library版に倣って,独立したグルー プとするかどうかは,任意である. 符号化する人は,2つのグループをひとつにまとめたり,グループ にもまとめず,単なるテキスト断片として扱うことも可能である.
<front>
<titlePage>
<docTitle>
<titlePart>The poems of Richard Crashaw</titlePart>
</docTitle>
<byline>Edited by J.R. Tutin</byline>
</titlePage>
<div type="preface">
<head>Editor's Note</head>
<p>A few words are necessary ... </p>
</div>
</front>
<group>
<text>
<front>
<titlePage>
<docTitle>
<titlePart>Steps to the Temple, Sacred Poems</titlePart>
</docTitle>
</titlePage>
<div type="address">
<head>The Preface to the Reader</head>
<p>Learned Reader, The Author's friend will not usurp much
upon thy eye ... </p>
</div>
</front>
<group>
<text>
<front>
<docTitle>
<titlePart>Sospetto D'Herode</titlePart>
</docTitle>
</front>
<body>
<div1 type="book" n="Herod I">
<head>Libro Primo</head>
<epigraph>
<l>Casting the times with their strong signs</l>
</epigraph>
<lg n="I.1" type="stanza">
<l>Muse! now the servant of soft loves no more</l>
<l>Hate is thy theme and Herod whose unblest</l>
<l>Hand (O, what dares not jealous greatness?) tore</l>
<l>A thousand sweet babes from their mothers' breast,</l>
<l>The blooms of martyrdom ...</l>
</lg>
</div1>
</body>
</text>
<text>
<front>
<docTitle>
<titlePart>The Tear</titlePart>
</docTitle>
</front>
<body>
<lg n="I">
<l>What bright soft thing is this</l>
<l>Sweet Mary, thy fair eyes' expense?</l>
</lg>
</body>
</text>
<!-- remaining poems of the Steps to the Temple appear here, each tagged as a distinct text element -->
</group>
<back>
<!-- back matter for the Steps to the Temple -->
</back>
</text>
<text>
<!-- start of Carmen deo Nostro -->
<front/>
<group>
<text/>
<text/>
<!-- more texts here -->
</group>
</text>
<text>
<!-- start of The Delights of the Muses -->
<group>
<text/>
<text/>
<!-- more texts here -->
</group>
</text>
</group>
<back>
<!-- back matter for the whole collection -->
</back>
</text>
- 前付け(タイトルページ,謝辞,導入)
- 巡遊旅行のはじまり
- 18世紀と大陸巡遊旅行
- 最盛期
- 巡遊旅行のトレンド
- 巡遊旅行後 Post Tourism
- 後付け(許諾一覧,索引)
- 序文
- マリー・ウォートリ・モンタギュー女史の5つの手紙
- スウィフトのガリバー旅行記からの抜粋
- アレクサンザー・ポープの2つの詩
- ボズウェルの雑誌記事からの2つの抜粋
- ウィリアム・ブレイクの詩
<!-- the whole anthology -->
<front>
<!-- title page, acknowledgments, introductory essay -->
</front>
<group>
<!-- body of anthology starts here -->
<group>
<head>The Beginnings</head>
<!-- sequence of texts or groups -->
</group>
<group>
<!-- The Eighteenth Century and the Grand Tour -->
<text>
<!-- prefatory essay by editor -->
</text>
<group>
<!-- Section on Lady Mary Wortley Montagu starts -->
<text>
<!-- biographical notice by editor -->
</text>
<text>
<!-- first letter -->
</text>
<text>
<!-- second letter -->
</text>
<!-- ... -->
</group>
<!-- end of Montagu section -->
<text>
<!-- single text by Jonathan Swift starts -->
<front>
<!-- biographical notice by editor -->
</front>
<body/>
</text>
<!-- end of Swift section -->
<group>
<!-- Section on Alexander Pope starts -->
<text>
<!-- biographical notice by editor -->
</text>
<text>
<!-- first poem -->
</text>
<text>
<!-- second poem -->
</text>
</group>
<!-- end of Pope section -->
<!-- ... -->
</group>
<!-- end of 18th century section -->
<group>
<head>The Heyday</head>
<!-- texts and subgroups -->
</group>
<!-- ... -->
</group>
<!-- end of the anthology proper -->
<back>
<!-- back matter for anthology -->
</back>
</text>
<!-- Section on Alexander Pope starts -->
<front>
<!-- biographical notice by editor -->
</front>
<group>
<text>
<!-- first poem -->
</text>
<text>
<!-- second poem -->
</text>
</group>
</text>
<!-- end of Pope section-->
「18世紀と大陸巡遊旅行」中の文章と,他の大きな章をまとめて,よ り大きな章として,要素groupではなく,要素textを使い,「前付け」として記録する ことも可能である.
このように,作品集が,異なる種類のテキスト(例えば,散文と韻文 の混成,転記された発話と辞書項目,手紙と韻文など)で構成されて いる場合,これらは,複数のモジュールを使い記録されることになる. 但し,3 コアモジュールにあるコアモジュールを使えば, 散文,舞台芸術,韻文が単純にまとめられているような場合には, これらに対応することができる.
- cit 書誌参照を伴い,他の文書からの引用を示す.例えば,辞書の場 合には, 当該単語形が出現する例文を示したり,当該見出 し語の翻訳や用例を示したりする.
- quote 語り手や著者が,当該テキスト外にあるものに向けた,一節を示す.
<head>Extracts</head>
<head>(Supplied by a sub-sub-Librarian)</head>
<p>It will be seen that this mere painstaking burrower and
grubworm of a poor devil of a Sub-Sub appears to have gone
through the long Vaticans and street-stalls of the earth,
picking up whatever random allusions to whales he could
anyways find ...
Here ye strike but splintered hearts together – there,
ye shall strike unsplinterable glasses!</p>
<p>
<cit>
<quote>And God created great whales.</quote>
<bibl>Genesis</bibl>
</cit>
<cit>
<quote>
<l>Leviathan maketh a path to shine after him;</l>
<l>One would think the deep to be hoary.</l>
</quote>
<bibl>Job</bibl>
</cit>
<cit>
<quote>By art is created that great Leviathan,
called a Commonwealth or State — (in Latin,
<mentioned xml:lang="la">civitas</mentioned>), which
is but an artificial man.</quote>
<bibl>Opening sentence of Hobbes's Leviathan</bibl>
</cit>
</p>
</div>
- « 4.3.1 複合テキスト
- Home | 目次
4.3.2 自在テキストTEI: 自在テキスト¶
単一的な構造のテキストであれ,複合的な構造のテキストであれ, テキストの持つ重要な特徴として「分割性」というものがある .一般に,利用可能なテキスト(または部分テキスト)全体は,各階層レベルに おいて,余すことなく分割することができる. XML文書には,ひとつのルート要素があり,ひとつの木構造を構成 している. 木構造の各ノードは,部分木を構成している. つまり,テキストの内部構造は,入れ子構造として,各階層で下位 構造を構成していると考えるのがよい. このように考えるのは,多くの文書で正しいものではあるが,全て の文書で正しいというものではない. 例えば,特定の階層レベルにおいて部分的に分割されているテキスト では,正しくない. テキストAはテキストBに含まれているとして,テキストB の一部が,テキストAよりも先に存在し,また,テキストAの後にも 存在している時,テキストB全体を分割することはできない. このような場合の,テキストAを,「自在テキスト(floating text)」 と呼ぶことにする.
要素floatingTextは,クラスmodel.divPartのメンバーで, 段落と同じように,区分レベルの要素の中で使うことができる. 例えば,「デカメロン」や「アラビアンナイト」のような作品は, 枠テキストの部分を前付けや後付けとして,個々のテキストをまと めたものというよりは,枠物語という独立したテキスト中に埋め込 まれる,多くの自在テキストを含んでいると見なすことができる.
and a clean Hearth ... reflected on the Providence of our
All-wise and Gracious Creator.... </p>
<p>She was thus ruminating, when a Gentleman enter'd the Room, the
Door being a jar... calling for a Candle, she beg'd a thousand
Pardons, engaged him to sit down, and let her know, what had so long
conceal'd him from her Correspondence.
</p>
<pb n="5"/>
<floatingText>
<body>
<head>The Story of <hi>Captain Manly</hi>
</head>
<p>Dear Galecia, said he, though you partly know the loose, or rather
lewd Life that I led in my Youth; yet I can't forbear relating part of
it to you by way of Abhorrence...
<!-- Captain Manly's story here -->
I had lost and spent all I had in the World; in which I verified the
Old Proverb, That a Rolling Stone never gathers Moss,
</p>
</body>
</floatingText>
<pb n="37"/>
the Stairs-head; and at her return, casting her Eyes on the Table, she
saw lying there an old dirty rumpled Book, and found in it the
following story: </p>
<floatingText>
<body>
<p> IN the time of the Holy War when
Christians from all parts went into the Holy Land to oppose the Turks;
Amongst these there was a certain English Knight...</p>
<!-- rest of story here -->
<p>The King graciously pardoned the Knight; Richard was kindly receiv'd
into his Convent, and all things went on in good order: But from hence
came the Proverb, We must not strike <hi>Robert</hi> for
<hi>Richard.</hi>
</p>
</body>
</floatingText>
<pb n="43"/>
<p>By this time Galecia's Maid brought up her Supper; after which she
cast her Eyes again on the foresaid little Book, where she found the
following Story, which she read through before she went to bed.
</p>
<floatingText>
<body>
<head>The Cause of the Moors Overrunning
<hi>Spain</hi>
</head>
<p>King ———— of Spain at his Death, committed the Government of his
Kingdom to his Brother Don ——— till his little Son should come of
Age ...</p>
<p>Thus the little Story ended, without telling what Misery
befel the King and Kingdom, by the Moors, who over ran the Country for
many Years after. To which, we may well apply the Proverb,
<quote>
<l>Who drives the Devil's Stages,</l>
<l>Deserves the Devil's Wages</l>
</quote>
</p>
</body>
</floatingText>
<p>The reading this Trifle of a Story detained Galecia from her Rest
beyond her usual Hour; for she slept so sound the next Morning, that
she did not rise, till a Lady's Footman came to tell her, that his
Lady and another or two were coming to breakfast with her...
</p>
複数の話から成るテキストでは,各入れ子化された話は,全体をまと める話よりも重要である. また,全体をまとめる枠物語の部分は,各話の前付けや後付けとして 扱いたいこともある. この様な事態はよくあることで,例えば,チョーサーの「カンタベリー 物語」でも,各話には前付けが添えられ,それには,続く話を紹介す る話し手が登場する. また,その後付けには,巡礼者(pilgrim)がその話にコメントを加え ている.
要素floatingTextは,複合テキストでのみ使われるべき である. ある話の中で,他の話からの登場人物に関する話が部分的,または全 面に現れる際には, 3.3.3 引用で解説する 要素quote を使うべきである.
- « 4.3 複合テキストと自在テキスト
- » 4.5 前付け
- Home | 目次
4.4 仮想区分TEI: 仮想区分¶
- divGen ソフトウェアで自動生成されたテキスト部分の場所を示す.
この要素は,クラスmodel.divGenLikeの唯一 のメンバーである. 要素divGenは,クラスatt.typedのメンバーでもあることから,属 性typeや属性sybtypeを使うことができる. また,この要素は,要素divや要素div1が使えるところで使うことができる.
<!-- transcript here-->
</div>
<div>
<!-- translation here -->
</div>
<divGen type="alignment"/>
- « 4.4 仮想区分
- » 4.6 タイトルページ
- Home | 目次
4.5 前付けTEI: 前付け¶
「前付け」とは,(全てがそうではないが,一般的には印刷された) テキストにある独立した部分のことで,序章いった,当該作品の一 部として特定できる部分のことである. 例えば,タイトルページや序文は,典型的なそれである. また,芝居の序幕(prologue)などもこの例に相当するといえるだろ う. 符号化されたテキストにおける前付けを, 2 TEIヘダーにあるTEIヘダーと混同してはいけない. TEIヘダーは,データファイルの前付けに相当するものであって, 符号化されるテキストの前付けに相当するものではない.
- preface
- 著者または出版者が,当該テキストの内容,目的,出自に ついて解説する,読者に向けた序文.
- ack
- 著者が,個人または団体に対して,当該テキストの作成に 関して,公式に宣言する謝辞.
- dedication
- 著者が,個人または団体に対して,公式に表明する献辞.
- abstract
- 一連の散文により解説された,当該テキストの内容の概要.
- contents
- 当該作品の構造,または構成内容のリストを示す目次. 要素listは,その構造を記 録するためだけに使われるべきである.
- frontispiece
- 時にテキストを含む口絵.
<p>To my parents, Ida and Max Fish</p>
</div>
<div type="preface">
<head>Preface</head>
<p>The answer this book gives to its title question is <q>there is
and there isn't</q>.</p>
<p>Chapters 1–12 have been previously published in the
following journals and collections:
<list>
<item>chapters 1 and 3 in <title>New literary History</title>
</item>
<item>chapter 10 in <title>Boundary II</title> (1980)</item>
</list>.
I am grateful for permission to reprint.</p>
<signed>S.F.</signed>
</div>
<head>Contents</head>
<list>
<item>Introduction, or How I stopped Worrying and Learned to Love
Interpretation <ptr target="#fish1"/>
</item>
<item>
<list>
<head>Part One: Literature in the Reader</head>
<item n="1">Literature in the Reader: Affective Stylistics
<ptr target="#fish2"/>
</item>
<item n="2">What is Stylistics and Why Are They Saying Such
Terrible Things About It? <ptr target="#fish3"/>
</item>
</list>
</item>
</list>
</div>
<div xml:id="fish1">
<head>Introduction</head>
<!-- .... -->
</div>
<div xml:id="fish2">
<head>Literature in the Reader</head>
<!-- .... -->
</div>
<div xml:id="fish3">
<head>What is stylistics?</head>
<!-- .... -->
</div>
<!-- .... --><item n="1">Literature in the Reader: Affective Stylistics
<ref target="#fish-p24">24</ref>
</item>
<!-- .... -->
<div type="chapter">
<head>Literature in the Reader</head>
<pb xml:id="fish-p24"/>
<!-- .... -->
</div>
<!-- .... -->
<div1 type="incipit">
<p>Here bygynniþ a book of contemplacyon, þe whiche
is clepyd <title>þE CLOWDE OF VNKNOWYNG</title>,
in þe whiche a soule is onyd wiþ GOD.</p>
</div1>
<div1 type="prayer">
<head>Here biginneþ þe preyer on þe prologe.</head>
<p>God, unto whom alle hertes ben open, &amp; unto whome alle wille
spekiþ, &amp; unto whom no priue þing is hid: I beseche
þee so for to clense þe entent of myn hert wiþ þe
unspekable 3ift of þi grace, þat I may parfiteliche
loue þee &amp; worþilich preise þee. Amen.</p>
</div1>
<div1 type="preface">
<head>Here biginneþ þe prolog.</head>
<p>In þe name of þe Fader &amp; of þe Sone &amp;
of þe Holy Goost.</p>
<p>I charge þee &amp; I beseeche þee, wiþ as moche
power &amp; vertewe as þe bonde of charite is sufficient
to suffre, what-so-euer þou be þat þis book schalt
haue in possession ...</p>
</div1>
<div1 type="contents">
<head>Here biginneþ a table of þe chapitres.</head>
<list>
<label>þe first chapitre </label>
<item>Of foure degrees of Cristen mens leuing; &amp; of þe
cours of his cleping þat þis book was maad vnto.</item>
<label>þe secound chapitre</label>
<item>A schort stering to meeknes &amp; to þe werk of þis
book</item>
<label>þe fiue and seuenti chapitre</label>
<item>Of somme certein tokenes bi þe whiche a man may proue
wheþer he be clepid of God to worche in þis werk.</item>
</list>
<trailer>& here eendeþ þe table of þe chapitres.</trailer>
</div1>
</front>
もし,目次を自動生成する場合には,要素divGenまた はPIを使い,そのことを示すことも可能である.
4.6 タイトルページTEI: タイトルページ¶
- titlePage 前付や後付中にある,テキストのタイトルページを示す.
- docTitle 当該文書のタイトルを示す.タイトルページにあるタイトルの 全情報を含む.
- titlePart
タイトルページに示されている,作品タイトルの下位部分を示す.
type 当該タイトルにおける,当該下位部分の役割を示す. - argument 下位部分にあるテキストのトピックを整形のリストまたは散文 で示す.
- byline タイトルページや作品の冒頭や最後にある,作品の責任者を表 す第一位の記述.
- docAuthor タイトルページにある(一般には署名欄にある)当該文書の著者 名を示す.
- epigraph 章や節の始め,タイトルページなどにある引用(題辞)を示す.
- imprimatur 作品の出版に関する公式の情報を示す.場合によっては,タイ トルページや その左ページに出現する必要がある.
- docEdition タイトルページにある当該文書の版を示す.
- docImprint 刊記にある出版関連情報を示す.例えば,出版日,出版者名な ど.一般には タイトルページの下にある.
- docDate 文書の日付を示す.一般にはタイトルページに書かれている.
- graphic/ テキスト列中にある図,絵,図表の場所を示す.
これらの要素は,14 図・表・式で解説される要素figureと共に, クラスmodel.titlepagePartを構成する. このクラスのメンバーは, 要素titlePageの中で,必要なだけ使うことができる. 要素figureは,タイトルページ中に,非テ キストのものがあることを示すものである. 例えば,印刷所の紋様やイラストなどは,3.9 図等の非テキスト内容 で解説する要素graphicで記録すべきである.
上記の要素(訳注:の一部)は,要素headと共に,クラスmodel.pLike.frontを構 成する. このクラスの要素は,要素frontの中で,自由に選択して使 われ,タイトルページを完全に符号化する必要もない.
<titlePage>
<docTitle>
<titlePart type="main">Is There a Text in This Class?</titlePart>
<titlePart type="sub">The Authority of Interpretive Communities</titlePart>
</docTitle>
<docAuthor>Stanley Fish</docAuthor>
<docImprint>
<publisher>Harvard University Press</publisher>
<pubPlace>Cambridge, Massachusetts</pubPlace>
<pubPlace>London, England</pubPlace>
</docImprint>
</titlePage>
</front>
<docTitle>
<titlePart type="main">THE
<lb/>Pilgrim's Progress
<lb/>FROM
<lb/>THIS WORLD,
<lb/>TO
<lb/>That which is to come:</titlePart>
<titlePart type="sub">Delivered under the Similitude of a
<lb/>DREAM</titlePart>
<titlePart type="desc">Wherein is Discovered,
<lb/>The manner of his setting out,
<lb/>His Dangerous Journey; And safe
<lb/>Arrival at the Desired Countrey.</titlePart>
</docTitle>
<epigraph>
<cit>
<quote>I have used Similitudes,</quote>
<bibl>Hos. 12.10</bibl>
</cit>
</epigraph>
<byline>By <docAuthor>John Bunyan</docAuthor>.</byline>
<imprimatur>Licensed and Entred according to Order.</imprimatur>
<docImprint>
<pubPlace>LONDON,</pubPlace>
Printed for <name>Nath. Ponder</name>
<lb/>at the <name>Peacock</name> in the <name>Poultrey</name>
<lb/>near <name>Cornhil</name>, <docDate>1678</docDate>.
</docImprint>
</titlePage>
タイトルページが記録されるとき,その物理的な配置は,重要な場合 も多くある. これを記録する際には,16 リンク,分割,統合で解説する要 素segを使 い,タイトルページにある印刷上の各単位を特定し,それらにグロー バル属性rendを付与して,表現方法を 記録することができる. また,ページや,行,罫線といった,印刷の単位を記録するためのモ ジュールを使い,線の太さや,行間の長さ,カーニングの程度,フォ ントの種類などを記録することができる. これらの詳細については,11 Representation of Primary Sourcesを参照のこ と.
- « 4.6 タイトルページ
- » 4.8 テキスト構造モジュール
- Home | 目次
4.7 後付TEI: 後付¶
符号化の仕方は,どの要素を前付けで使い,どの要素を後付けで使 うかにより,様々である. 例えば,目次が前付けにある書籍もあれば,目次が後付けにある書 籍もある. タイトルページも,前付けにあったり,後付けにあったりする場合 がある. 従って,要素backと要素frontの内容モデルは,同じものになる.
- appendix
- 当該作品中で,補助的にある,独立して閉じた章で,付加的ま たは増補的なテキストを示す.
- glossary
- 定義テキストと共にある要素のリスト. これは,list type="gloss"のよう に符号化されるべきである(3.7 リストを参照のこと).
- notes
- 共に記される解説に準じたテキストを示す.
- bibliogr
- 書誌引用のリスト. これは,要素listBiblで符号化されるべき(3.11 書誌項目の記述または参照を参照).
- index
- 当該作品の索引.
- colophon
- 当該書籍の物理的な状態を解説する,書籍の最後に示されるも の.
<div type="index">
<head>Index</head>
<list type="index">
<item>Actors, public, paid for the contempt attending
their profession, <ref>263</ref>
</item>
<item>Africa, cause assigned for the barbarous state of
the interior parts of that continent, <ref>125</ref>
</item>
<item>Agriculture
<list type="indexentry">
<item>ancient policy of Europe unfavourable to, <ref>371</ref>
</item>
<item>artificers necessary to carry it on, <ref>481</ref>
</item>
<item>cattle and tillage mutually improve each other, <ref>325</ref>
</item>
<item>wealth arising from more solid than that which proceeds
from commerce <ref>520</ref>
</item>
</list>
</item>
<item>Alehouses, not the efficient cause of drunkenness, <ref>461</ref>
</item>
</list>
</div>
</back>
the efficient cause of drunkenness, <ref target="#P461">461</ref>
</item>
<item>Alehouses, not the efficient cause of drunkenness,<ptr target="#P461"/>
</item>
<div type="letter">
<head>A letter written to his wife, founde with this booke
after his death.</head>
<p>The remembrance of the many wrongs offred thee, and thy
unreproued vertues, adde greater sorrow to my miserable state,
than I can utter or thou conceiue. ...
... yet trust I in the world to come to find mercie, by the
merites of my Saiuour to whom I commend thee, and commit
my soule.</p>
<signed>Thy repentant husband for his disloyaltie,
<name>Robert Greene.</name>
</signed>
<epigraph xml:lang="la">
<p>Faelicem fuisse infaustum</p>
</epigraph>
<trailer>FINIS</trailer>
</div>
</back>
<div type="corrigenda">
<head>Addenda</head>
<salute xml:lang="la">M. Scriblerus Lectori</salute>
<p>Once more, gentle reader I appeal unto thee, from the shameful
ignorance of the Editor, by whom Our own Specimen of
<name>Virgil</name> hath been mangled in such miserable manner, that
scarce without tears can we behold it. At the very entrance, Instead
of <q xml:lang="gr">προλεγομενα</q>, lo!
<q xml:lang="gr">προλεγωμενα</q> with an Omega!
and in the same line <q xml:lang="la">consulâs</q> with a circumflex!
In the next page thou findest <q xml:lang="la">leviter perlabere</q>,
which his ignorance took to be the infinitive mood of
<q xml:lang="la">perlabor</q> but ought to be
<q xml:lang="la">perlabi</q> ... Wipe away all these
monsters, Reader, with thy quill.</p>
</div>
</back>
4.8 テキスト構造モジュールTEI: Module for テキスト構造モジュール¶
↑ Contents « 3 コアモジュール » 5 標準化されていない文字と字形の表現