17 簡易分析機能
Contents
この章では,テキスト要素の簡易分析や解釈むけのモジュールについ て解説する. ここでいう「分析」とは,符号化する人がテキストの全てまたは一部 に,付加しておきたい人がテキストの意味的,統語的解釈のことで ある. この章で扱われる対象としては,例えば,言語学上の区分(句,形態 素,文法単位など)や,物語構造の分類(例えば,テーマ,調和 (reconfiliation)など)がある. この章で示される手法は,簡単なもので,18 素性構造で解説される手法に 比べて記述力はない.
17.1 言語学的区分では,言語学上の区分,例え ば,文,節,句,語,形態素,文字などに従い,テキスト部分を特 徴付けるモジュールを解説する. ここで示される要素は, 16.3 区画,分割,アンカーで解説される,汎用の要素であるsegの,特別な 場合といえる.
17.2 簡易分析向けグローバル属性では, テキストと,解釈を示す特定要素とを関連づけるための,グローバル 属性を導入する. 「解釈」を示す要素(例えば,spanやinterp)に ついては,17.3 部分と解釈で解説する. これにより,一連の名前と値として,分析を記録することができる. 68 この名前と値の組は,複数のテキスト範囲を,単位の指定では直接的 に,または会社の指定では間接にリンク付けられる.
最後の17.4 言語学的アノテーションでは,再び言語学上 の分析について解説し,解釈を記録する機能がどのように言語学 的な分析とテキスト部分を関連づけるかを示す.
- » 17.2 簡易分析向けグローバル属性
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17.1 言語学的区分TEI: 言語学的区分¶
- att.segLike
任意の部分に使用される要素向けの属性を示す.
type 当該分割の種類を示す. function 当該部分の役割を示す.
これらの要素は,クラスmodel.phraseの下位クラスで あるクラスmodel.segLike のメンバーでもある. 従って,本章で解説するモジュールが定義されていれば,これらの 要素は,文書中にテキストを記録できる全ての場所で使うことができる.
<s>Nineteen fifty-four, when I was eighteen years old,
is held to be a crucial turning point in the history of
the Afro-American — for the U.S.A. as a whole — the
year segregation was outlawed by the U.S. Supreme Court.</s>
<s>It was also a crucial year for me because on June 18,
1954, I began serving a sentence in state prison for
possession of marijuana.</s>
</p>
<s>
<cl>It was about the beginning of September, 1664,
<cl>that I, among the rest of my neighbours,
heard in ordinary discourse
<cl>that the plague was returned again to Holland; </cl>
</cl>
</cl>
<cl>for it had been very violent there, and particularly at
Amsterdam and Rotterdam, in the year 1663, </cl>
<cl>whither, <cl>they say,</cl> it was brought,
<cl>some said</cl> from Italy, others from the Levant, among some goods
<cl>which were brought home by their Turkey fleet;</cl>
</cl>
<cl>others said it was brought from Candia;
others from Cyprus. </cl>
</s>
<s>
<cl>It mattered not <cl>from whence it came;</cl>
</cl>
<cl>but all agreed <cl>it was come into Holland again.</cl>
</cl>
</s>
</p>
節は,さらに,要素phrで下位区分化することができる. テキストは,直接「節」または「句」へと下位区分化することがで きる. 順番通りに階層を作る必要はない.
<l>
<cl part="I">Tweedledum and Tweedledee</cl>
</l>
<l>
<cl part="F">Agreed to have a battle;</cl>
</l>
<l>
<cl part="I">For Tweedledum said <cl part="I">Tweedledee</cl>
</cl>
</l>
<l>
<cl part="F">
<cl part="F">Had spoiled his nice new rattle.</cl>
</cl>
</l>
</div>
<div type="stanza">
<l>
<cl part="I">Just then flew down a monstrous crow,</cl>
</l>
<l>
<cl part="F">As black as a tar barrel;</cl>
</l>
<l>
<cl part="I">Which frightened both the heroes so,</cl>
</l>
<l>
<cl part="F">
<cl>They quite forgot their quarrel.</cl>
</cl>
</l>
</div>
<cl next="#c5" xml:id="c3" part="I">For Tweedledum said
<cl next="#c6" xml:id="c4" part="I">Tweedledee</cl>
</cl>
</l>
<l>
<cl prev="#c3" xml:id="c5" part="F">
<cl prev="#c4" xml:id="c6" part="F">Had spoiled his nice new rattle.</cl>
</cl>
</l>
属性typeは,言語学上の区分の種類を 示し,当該区分の付加的な情報を記録することができる. 要素clと要 素phrにあ る属性functionは,当該区分の機能に 関する付加的な情報を記録することができる. これら2つの属性の各値について,規定するものはないが,その内 容については,ヘダー中の要素encodingDescにある要素segmentationに記録されるべきである. 言語学上の区分を符号化する,一般的な方法については,以下にあ る17.4 言語学的アノテーションで解説する.
<cl type="relative" function="clause_modifier">from whence it came;</cl>
</cl>
<phr>was outlawed</phr>
<phr type="PP" function="postmodifier-agent">by the U.S. Supreme Court.</phr>
<s>
<cl type="finite-declarative" function="independent">
<phr type="NP" function="subject">Nineteen fifty-four,
<cl type="finite-relative-declarative" function="appositive"> when <phr type="NP" function="subject">I</phr>
<phr type="VP" function="predicate">was eighteen years old</phr>
</cl>
</phr>,
<phr type="VP" function="predicate">
<phr type="V" function="verb-main">is held</phr>
<phr type="NP" function="complement">
<cl type="nonfinite" function="predicate-nom.">
<phr type="V" function="copula">to be</phr>
<phr type="NP" function="predicate-nom.">a crucial turning point
<phr type="PP" function="postmodifier">in
<phr type="NP" function="prep.obj.">the history
<phr type="PP" function="postmodifier">of the Afro-American</phr>
</phr>
</phr>
—
<phr type="PP" function="postmodifier-appositive">for
<phr type="NP" function="prep.obj.">the U.S.A.
<phr type="PP" function="postmodifier">as a whole</phr>
</phr>
</phr>
</phr>
—
<phr type="NP" function="appositive-predicate-nom.">the year
<cl type="finite-relative" function="adjectival">
<phr type="NP" function="subject">segregation</phr>
<phr type="VP" function="predicate">
<phr type="V" function="verb-main">was outlawed</phr>
<phr type="PP" function="postmodifier">by the U.S. Supreme Court</phr>
</phr>
</cl>
</phr>
</cl>
</phr>
</phr>.</cl>
</s>
<s>
<cl type="finite-declarative" function="independent">
<phr type="NP" function="subject">It</phr>
<phr type="VP" function="predicate">
<phr type="V" function="verb-main">was</phr>
also
<phr type="NP" function="predicate-nom.">a crucial year for me</phr>
</phr>
<cl type="declarative-finite" function="dependent-causative">because
<phr type="PP" function="sentence_adverb">on June 18, 1954</phr>,
<phr type="NP" function="subject">I</phr>
<phr type="VP" function="predicate">
<phr type="V" function="verb-main">began serving</phr>
<phr type="NP" function="complement">a sentence in state prison
<phr type="PP" function="complement">for possession of marijuana</phr>
</phr>
</phr>
</cl>
</cl>
</s>.
</p>
このような書き方では,行や空白をテキスト中で正しく記録するこ とができない. もし,元資料のレイアウトが重要である場合,要素lbや,グローバル属性 rendやrendition等を使い,それを明示的に記録する 必要がある.
要素wや, 要素mや, 要素cは, 意味上は,要素segに属性type と,その値としてそれぞれ'w','m', 'c'を伴った記述と同じである. けれども,これらの要素は,要素segと比べて,より特定の働きを持つ. 例えば,要素wは,その下位要素として,要素w,要素m,要素c,そしてテキ ストのみを取ることができる. また,要素m は,その下位要素として,要素cとテキストのみを取ることができる. また,要素c は,その下位要素として,テキストのみを取ることができ,多くの 場合,それは1文字のみである. つまり,これらの要素は,segによって書換が可能ではあるが,その 逆は必ずしも可能ではない.
<w>grandiloquent</w>
</mentioned>
<phr>grandiloquent speech</phr>
</mentioned>
<mentioned>grandiloquent speech</mentioned>
</phr>
<w lemma="timeo">timeo</w>
<w lemma="danaii">Danaos</w>
<w lemma="et">et</w>
<w lemma="donum">dona</w>
<w lemma="fero">ferentes</w>
</s>
<m type="prefix" baseForm="con">com</m>
<m type="root">fort</m>
<m type="suffix">able</m>
</w>
<w>
<w>did</w>
<m>n't</m>
</w>
<w>do</w>
<w>it</w>
<c>.</c>
このような区分により,「did」 は,「didn't」の内部にあるこ とが,このままでも分かるように表現されている. このレベルまでテキストを分割することの利点として,各分割単位 が,他の詳細で正式の分析の記述と,簡単に関連づけることができ ることもある. これについては,後の17.4 言語学的アノテーション で詳しく取り上げる.
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- » 17.3 部分と解釈
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17.2 簡易分析向けグローバル属性TEI: 簡易分析向けグローバル属性¶
- att.global.analytic
任意のテキスト部分への分析・解釈に関連するグローバル属性を示す.
ana 属性ana を伴う要素の解釈を含む要素を示す.
17.3 部分と解釈TEI: 部分と解釈¶
- att.interpLike
形式的分析や解釈を示す要素に付与される属性を示す.
resp 当該解釈に責任を持つ人物を示す. type 当該部分で,どのような面が指摘されているのかを示す. inst 当該要素で示されている分析や解釈の実体を示す.
<s xml:id="MaQp1s2p114s1">There was certainly a definite point at which the
thing began.</s>
<s xml:id="MaQp1s2p114s2">It was not; then it was suddenly inescapable,
and nothing could have frightened it away.</s>
<s xml:id="MaQp1s2p114s3">There was a slow integration, during which she,
and the little animals, and the moving grasses, and the sun-warmed
trees, and the slopes of shivering silvery mealies, and the great
dome of blue light overhead, and the stones of earth under her feet,
became one, shuddering together in a dissolution of dancing
atoms.</s>
<s xml:id="MaQp1s2p114s4">She felt the rivers under the ground forcing
themselves painfully along her veins, swelling them out in an
unbearable pressure; her flesh was the earth, and suffered growth
like a ferment; and her eyes stared, fixed like the eye of the
sun.</s>
<s xml:id="MaQp1s2p114s5">Not for one second longer (if the terms for time
apply) could she have borne it; but then, with a sudden movement
forwards and out, the whole process stopped; and
<emph rend="italic">that</emph> was <soCalled rend="dquo">the
moment</soCalled> which it was impossible to remember
afterwards.</s>
<span from="#MaQp1s2p114s3" to="#MaQp1s2p114s5">the moment</span>
<s xml:id="MaQp1s2p114s6">For during that space of time (which was
timeless) she understood quite finally her smallness, the
unimportance of humanity.</s>
</p>
<span from="#MaQp1s2p114s3" to="#MaQp1s2p114s5">the moment</span>
<!-- other spans identified by DTL here -->
</spanGrp>
Sigmund, the son of Volsung, was a king in Frankish country. Sinfiotli was the eldest of his sons, the second was Helgi, thethird Hamund.Borghild, Sigmund's wife, had a brother named —But Sinfiotli, her stepson, and — both wooed the same womanand Sinfiotli killed him over it. 70 And when he came home, Borghild asked him to go away,but Sigmund offered her weregild, and she was obliged to accept it. At the funeral feast Borghild was serving beer. She took poison, a bigdrinking horn full, and brought it to Sinfiotli. When Sinfiotli lookedinto the horn, he saw that poison was in it, and said to Sigmund ‘Thisdrink is cloudy, old man.’ Sigmund took the horn and drank it off. It is said that Sigmund was hardy and that poison did him no harm,inside or out. And all his sons could tolerate poison on their skin.Borghild brought another horn to Sinfiotli, and asked him to drink, andeverything happened as before. And a third time she brought him a horn,and reproachful words as well, if he didn't drink from it. He spokeagain to Sigmund as before. He said ‘Filter it through your mustache,son!’ Sinfiotli drank it off and at once fell dead.
Sigmund carried him a long way in his arms and came to a long,narrow fjord, and there was a small boat there and a man in it. Heoffered to ferry Sigmund over the fjord. But when Sigmund carried thebody out to the boat, it was fully laden. The man said Sigmund shouldgo around the fjord inland. The man pushed the boat out and thensuddenly vanished.
King Sigmund lived a long time in Denmark in the kingdom ofBorghild, after he married her. Then he went south to Frankish lands,to the kingdom he had there. Then he married Hiordis, the daughter ofKing Eylimi. Their son was Sigurd. King Sigmund fell in a battle withthe sons of Hunding. And then Hiordis married Alf, the son of KingHialprec. Sigurd grew up there as a boy.
Sigmund and all his sons were tall and outstanding in theirstrength, their growth, their intelligence, and their accomplishments.But Sigurd was the most outstanding of all, and everyone who knows aboutthe old days says he was the most outstanding of men and the noblest ofall the warrior kings.
<s xml:id="S1">Sigmund ... was a king in Frankish country.</s>
<s xml:id="S2">Sinfiotli was the eldest of his sons.</s>
<s xml:id="S3">Borghild, Sigmund's wife, had a brother ...</s>
<s xml:id="S4A">But Sinfiotli ... wooed the same woman</s>
<s xml:id="S4B">and Sinfiotli killed him over it.</s>
<s xml:id="S5">And when he came home, ... she was obliged to accept it.</s>
<s xml:id="S6">At the funeral feast Borghild was serving beer.</s>
<s xml:id="S7">She took poison ... and brought it to Sinfiotli.</s>
<s xml:id="S17">Sinfiotli drank it off and at once fell dead.</s>
<anchor xml:id="EOS17"/>
</p>
<p xml:id="P2">Sigmund carried him a long way in his arms ... </p>
<p xml:id="P3">King Sigmund lived a long time in Denmark ... </p>
<p xml:id="P4">Sigmund and all his sons were tall ... </p>
<spanGrp resp="#TMA" type="narrative-structure">
<span from="#S1" to="#S3">introduction</span>
<span from="#S4A">conflict</span>
<span from="#S4B">climax</span>
<span from="#S5" to="#S17">revenge</span>
<span from="#EOS17">reconciliation</span>
<span from="#P2" to="#P4">aftermath</span>
</spanGrp>
要素anchorは ,テキスト単位'reconciliation'を示すためのもので,これは,テ キスト中に実際には出現しないが,話のパタンの一部を構成するも のとみなされるものである.
同様の分析は,要素spanに代わり,要素interpで も記録することができる. この要素では,解釈の分類とその値を示す属性を取ることができる. 但し,この要素自体では,解釈対象となるテキストを示さない. 同じ解釈の構造を,当該テキスト中の様々な部分と関連づけること も可能である. 要素interpとテキスト部分との関連は,当該テ キスト部分から, 17.2 簡易分析向けグローバル 属性で解説される属性anaを伴う要 素interpが参照されることで成立する. または,当該テキストと解釈記述の両方が,16 リンク,分割,統合で解説され る要素linkで参照されることで 成立する.
<s xml:id="MarQp1s2p114s1">There was certainly a definite point ... </s>
<s xml:id="MarQp1s2p114s2">It was not; then it was suddenly inescapable ... </s>
<seg xml:id="MarQp1s2p114s3-5" ana="#moment">
<s xml:id="MarQp1s2p114s3">There was a slow integration ... </s>
<s xml:id="MarQp1s2p114s4">She felt the rivers under the ground ... </s>
<s xml:id="MarQp1s2p114s5">Not for one second longer ... </s>
</seg>
<s xml:id="MarQp1s2p114s6">For during that space of time ... </s>
</p>
<interp xml:id="moment">the moment</interp>
<interp xml:id="INTRO">introduction</interp>
<interp xml:id="CONFLICT">conflict</interp>
<interp xml:id="CLIMAX">climax</interp>
<interp xml:id="REVENGE">revenge</interp>
<interp xml:id="RECONCIL">reconciliation</interp>
<interp xml:id="AFTERM">aftermath</interp>
</interpGrp>
<seg xml:id="SS1-SS3" ana="#INTRO">
<s xml:id="SS1">Sigmund ... was a king in Frankish country.</s>
<s xml:id="SS2">Sinfiotli was the eldest of his sons.</s>
<s xml:id="SS3">Borghild, Sigmund's wife, had a brother ... </s>
</seg>
<s xml:id="SS4A" ana="#CONFLICT">But Sinfiotli ... wooed the same woman</s>
<s xml:id="SS4B" ana="#I3">and Sinfiotli killed him over it.</s>
<seg xml:id="SS5-SS17" ana="#CLIMAX">
<s xml:id="SS5">And when he came home, ... she was obliged to accept it.</s>
<s xml:id="SS6">At the funeral feast Borghild was serving beer.</s>
<s xml:id="SS17">Sinfiotli drank it off and at once fell dead.</s>
</seg>
</p>
<anchor xml:id="NIL1" ana="#RECONCIL"/>
<p xml:id="PP2">Sigmund carried him a long way in his arms ... </p>
<p xml:id="PP3">King Sigmund lived a long time in Denmark ... </p>
<p xml:id="PP4">Sigmund and all his sons were tall ... </p>
<join xml:id="PP2-PP4" targets="#PP2 #PP3 #PP4" ana="#AFTERM"/>
<link targets="#INTRO #SS1-SS3"/>
<link targets="#CONFLICT #SS4A"/>
<link targets="#CLIMAX #SS4B"/>
<link targets="#REVENGE #SS5-SS17"/>
<link targets="#RECONCIL #NIL1"/>
<link targets="#AFTERM #PP2-PP4"/>
</linkGrp>
この例文で,要素spanに代わり,要素interpを 使う,明らかな利点は, 要素interpを,同じ文書中にある別のテキスト に対しても使うことができることである. 要素span では,このようなことはできない. また,もうひとつの利点として,要素interpは,(要素joinで示さ れている)不連続なテキスト部分の解釈を記録するために使うこと ができる. 但し,要素interpは,他の要素(例えば,要素segや要素join)では求 められない,特別なテキスト要素を用意する必要がある. 要素span を使う場合,その必要はない.
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17.4 言語学的アノテーションTEI: 言語学的アノテーション¶
ここでいう言語学的アノテーションとは,テキストにある言語学的 素性を分析したアノテーションのことである. これには,テキストの構造上の特性(例えば,章や段落に分割する こと)や,内容に関する記述的な情報(例えば,作成状況,ジャン ル,媒体など)は含まれない. TEIに準拠したテキストにおける構造的な特性については,本章の みならず,3 コアモジュールや,4 テキスト構造モジュール や,第3部の各章(訳注:古い版であるP3の残滓で,P5ではこの 部立てはなくなっている)で解説されている要素で記録される. TEIテキストの内容に関する特性については, 2 TEI ヘダーで解説されるTEIヘダーや,15.2 Contextual Information で解説される要素で記録される.
言語学的なアノテーションは,テキスト中の様々なレベルで使うこ とができる. これにより,コード(例えば,品詞コード)を,単語や,それらが連 続的または非連続的にまとまった,または入れ子化している集合に 付与することができる. このようなコードは,分離してあるテキストの部分の間にあるとさ れる関連性にも付与することができる. コード自体は,これ以上細分化ができない分類を表現するものか,また は,テキスト素性を高度にまとめて表現するものである. これらの機能により,当該テキストにあるアノテーションは,言語 学的または談話的な分析や,より一般的な意味分析や,これらの統 合分析と関連づけられる.
このようなアノテーションが記録され,当該テキストに付加される 方法は,全て自動であったり,全くの手作業であったり,その中間 であることもある. 分析を自動化することで容易になることや,その正確性について は,付加されるアノテーションのレベルにより異なってくる. いずれにせよ,その方法は, 2.3.3 編集方法宣言にあ るよう,TEIヘダー内にある要素interpretationに記録されるべきである. あるコーパス中で,複数のアノテーションの方法が採用されている 場合には,属性declsを使い,その事実 を記録すべきである. この詳細は,15.3 Associating ContextualInformation with a Textで解説されている.
The victim's friends told police that Kruger droveinto the quarry and never surfaced.
drove_VVD into_PRP the_AT0 quarry_NN1 and_CJC never_AV0 surfaced_VVD
<w ana="#AT0">The</w>
<w ana="#NN1">victim</w>
<w ana="#POS">'s</w>
<w ana="#NN2">friends</w>
<w ana="#VVD">told</w>
<w ana="#NN2">police</w>
<w ana="#CJT">that</w>
<w ana="#NP0">Kruger</w>
<w ana="#VVD">drove</w>
<w ana="#PRP">into</w>
<w ana="#AT0">the</w>
<w ana="#NN1">quarry</w>
<w ana="#CJC">and</w>
<w ana="#AV0">never</w>
<w ana="#VVD">surfaced</w>
</s>
<interp xml:id="AT0">Definite article</interp>
<interp xml:id="AV0">Adverb</interp>
<interp xml:id="CJC">Conjunction</interp>
<interp xml:id="CJT">Relative that</interp>
<interp xml:id="NN1">Noun singular</interp>
<interp xml:id="NN2">Noun plural</interp>
<interp xml:id="NP0">Proper noun</interp>
<interp xml:id="POS">Genitive marker</interp>
<interp xml:id="PRP">Preposition</interp>
<interp xml:id="VVD">Verb past tense</interp>
</interpGrp>
<phr ana="#n">
<phr ana="#g">
<w ana="#AT">The</w>
<w ana="#NN1">victim</w>
<m ana="#GEN">'s</m>
</phr>
<w ana="#NN2">friends</w>
</phr>
<phr ana="#v">
<w ana="#VVD">told</w>
<phr ana="#n">
<w ana="#NN2">police</w>
</phr>
<cl ana="#fn">
<w ana="#CJT">that</w>
<phr ana="#n">
<w ana="#NP1">Krueger</w>
</phr>
<phr ana="#v">
<phr ana="#v1">
<w ana="#VVD">drove</w>
<phr ana="#p">
<w ana="#PRP">into</w>
<phr ana="#n">
<w ana="#AT0">the</w>
<w ana="#NN1">quarry</w>
</phr>
</phr>
</phr>
<w ana="#CJC">and</w>
<phr ana="#v2">
<w ana="#AV0">never</w>
<w ana="#VVD">surfaced</w>
</phr>
</phr>
</cl>
</phr>
<c ana="#pun">.</c>
</s>
<interp xml:id="v2">coordinate continuation</interp>
<interp xml:id="v">verbal</interp>
<interp xml:id="n">nominal</interp>
<interp xml:id="g">genitive</interp>
<interp xml:id="fn">finite clause</interp>
<interp xml:id="p">prepositional</interp>
<interp xml:id="v1">coordinate start</interp>
</interpGrp>
<w xml:id="word-1">The</w>
<w xml:id="word-2">victim</w>
<w xml:id="word-3">'s</w>
<w xml:id="word-4">friends</w>
<w xml:id="word-5">told</w>
<w xml:id="word-6">police</w>
<w xml:id="word-7">that</w>
<w xml:id="word-8">Kruger</w>
<w xml:id="word-9">drove</w>
<w xml:id="word10">into</w>
<w xml:id="word11">the</w>
<w xml:id="word12">quarry</w>
<w xml:id="word13">and</w>
<w xml:id="word14">never</w>
<w xml:id="word15">surfaced</w>
</s>
<link targets="#word-1 #AT0"/>
<link targets="#word-2 #NN1"/>
<link targets="#word-3 #POS"/>
<link targets="#word-4 #NN2"/>
<link targets="#word-5 #VVD"/>
<link targets="#word-6 #NN2"/>
<!--...-->
</linkGrp>
これまでに解説してきた言語分析の対象は,文章構造が整っている ことが必要で,すなわち,ひとつの親要素を持つ必要がある. さらに,これらのテキスト区分は,不連続であったり,構造が重複 (オーバーラップ)したりすることなく,各分析レベルにおいて適切 に分析されている必要がある. もちろん,この様な要求は,全ての分析において必要となるわけで はない. 本ガイドラインでは,不連続な対象の記録や,複数の分析を記録す ることに対応する,様々な手法を用意している. これらの機能にいての案内は,20 非階層構造にある. また,16 リンク,分割,統合も参照すると良い. これらの機能は,多かれ少なかれ,ユニークな識別子を,TEI 準拠のテキスト中にある各要素と対応させることで実現している. 識別子は,要素を参照するターゲットとしての役割を担うことにな る.
<u xml:id="u2">Yes, anything else?</u>
<u xml:id="u3">No thanks.</u>
<u xml:id="u4">That'll be dollar forty.</u>
<u xml:id="u5">Two dollars</u>
<u xml:id="u6">Sixty, eighty, two dollars. Thank you.</u>
<spanGrp type="transactions">
<span from="#u1">sale request</span>
<span from="#u2" to="#u3">sale compliance</span>
<span from="#u4">sale</span>
<span from="#u5">purchase</span>
<span from="#u6">purchase closure</span>
</spanGrp>
- « 17.4 言語学的アノテーション
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17.5 分析モジュールTEI: 分析モジュール¶
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